勉強する意義とは?

Q:我が子は夏休みも毎日一生懸命に宿題をやっています。しかし、なぜ中学生がこれほど勉強をしなければならないのでしょうか。我が子の場合には、学校や私達(親)に追い立てられるがままに勉強をしており、なんらの疑問も抱いていないようなのですが、もしも我が子に勉強する意義を問われたならば何と答えればよいのでしょうか。


A:私達(大人)が他人とコミュニケーションを図る際には、まず、話題とする「物事」について相手がどの程度理解しているのかを探ります。そして、ある程度の理解があることが確認されると、より核心的な部分へと会話を展開していきます。自分の理解と相手の理解が拮抗していれば、話が通じます。相手の理解と自分の理解の方向性が異なる場合には、議論が盛り上がります。相手の理解が自分よりも深い場合には、相手を尊敬します。或いは、次に会って話をするまでに自分の理解を深めておこうと思います。自分の理解が相手よりも深い場合には、相手から助言を求められることもあります。これは「物事」がどのような分野のものであっても同じです。

このようなコミュニケーションは、とても楽しくて、有意義で、自分を向上させるものです。ですから、「物事」を理解している人たちの集団の中で過ごす時間は大変に貴重です。

また、「物事」への理解が深まると、視界が広がり、「物事」を取り巻く新たな世界までも見えるようになります。新たな世界が見えたときには、人は、それ以前の自分の理解の程度の低さを恥じて、謙虚になるものです。謙虚な人は、例外なく、懐が深く、周囲を労わります。従って、謙虚な人の存在は、周囲を安定させ、無用な争いを抑制します。また、謙虚な人に出会うと、自らの傲慢さに気付かされるので、自分も謙虚になれます。


ですから、貴方(我が子)には、日常でも、学校でも、ビジネスでも、「物事」を理解している人たちの集団の中で生きていって欲しいと思います。そうすれば、貴方(我が子)の人生は、好奇心に溢れ、かつ、その好奇心を満たすことができる豊かなものになるでしょう。また、このような集団の中にいる謙虚な人に刺激を受けて欲しいと思います。そうすれば、貴方(我が子)の人生は、友人に恵まれて、抑鬱することが少ない明るいものとなるでしょう。

ただ、このような集団に属するためには、貴方(我が子)がある程度「物事」を理解している必要があります。一般的に、「物事」を理解するためには、知識量(範囲の広さ、情報量の多さ)が必要ですから、このような集団に属するためには、日々、知識を獲得することに邁進しなければなりません。

ここで、中学における5教科の勉強は「物事」を理解するための知識(最低限の知識)を経験によらずに短期間で大量に取得する良い手段です。貴方(我が子)が、好奇心に溢れ、かつ、その好奇心を満たすことができる豊かな人生を過ごすためには、また、友人に恵まれた明るい人生を過ごすためには、中学生の今、日々、勉強して正確な知識を沢山身に着ける必要があります。

これが、私達(親)が考える勉強する意義です。